​【保護者は見ている】0歳児クラスの対応で学んだこと、そして数年後の再会

こんにちは、佐伯リノです。​

年度末、保護者との関わりで悩む先生も多い時期ですね。「どうしたらもっと信頼してもらえるんだろう」と、夜も眠れないほど考えてしまう日もあるかもしれません。​今日は、私の保育士としての原点になった「1年目の経験」と、園長になった今だからこそ気づかされた「保護者の眼差し」についてお話しします。

​■1年目の私が直面した「クラス全体への厳しい視線」

​私が保育士1年目の時、20名近くの0歳児がいるクラスの担任をしていました。もう20年以上も前のことですが、右も左も分からない1年目の私にとって、日々を安全に送るだけで精一杯でした。​0歳児の後半になると、子どもたちは言葉で思いを伝えられず、お友達を噛んだり引っかいたりしてしまうことがあります。ある時、そのお友達に怪我が続いてしまったことで、保護者から「クラスの安全管理はどうなっているのか」という厳しいお声が届きました。​それは、私個人への攻撃というよりは、「0歳児クラスとしての対応」に対するご指摘でした。当時の私には、クラス全体に対する保護者の強い憤りを受け止める術がなく、ただ立ち尽くすことしかできませんでした。

​■ その言葉が、私の「お守り」になった

​園長やクラス責任者が話し合いを重ね、なんとか収拾がついた時のこと。私もお母様に謝罪の言葉を伝えました。すると、お母様は私を見て、こう言ってくださいました。​「先生たちの苦労は分かっているし、先生がうちの子にいつも笑顔で、丁寧に接してくれていることは伝わっているから。そこには感謝しているのよ」​クラス環境への厳しいご指摘があっても、保護者は「目の前の保育士が、どれだけ我が子に心を込めているか」を、しっかり見ていてくださっていたのです。その言葉は、それからの私の保育士人生を支える「お守り」となりました。

​■ 園長になった今、街中でかけられた言葉​

実は、もう一つ忘れられない出来事があります。私がさまざまな園を経験し、今は園長として働いている「今」の出来事です。​ある日、街中で偶然、かつて私が働いていた別の保育園の保護者の方にお会いしました。お互いに近況報告をし合っていた時、その方は私にこう仰いました。​「先生、あの時のあの園のやり方には、先生は絶対染まらなかったよね」​驚きました。当時の私は、園の方針と自分の信念との間で葛藤しながらも、「子どもたちを大事にする」という想いだけは曲げないように必死でした。その方は、当時の私が必死に守ろうとしていた「保育への誠実さ」を、しっかり見ていてくださったのです。

​■ クレームは「信頼を深めるチャンス」

​今、園長として現場を見ていると、保護者からのご指摘は、時に耳が痛いこともあります。でも、私はこう確信しています。「ご指摘をいただいた時こそ、信頼関係を築くチャンスだ」と。​保護者は「クラス全体」の安全を求めて厳しいお声をくださいますが、同時に「目の前の先生が誠実であるかどうか」も、驚くほど冷静に判断されています。​ マニュアル通りの対応だけでなく、その子のための「真実」を見ること。​誠実に向き合う。 何かあった時こそ、素早く、そして心を込めて対応すること。​私が20年以上現場にいて、致命的なトラブルに発展させずにこれたのは、技術ではなく、この「誠実さ」を忘れなかったからだと信じています。

​現場で悩む先生方へ​今、保護者との関わりで悩んでいる先生、どうか自分を責めすぎないでください。たとえ園全体やクラス全体への厳しいお声があっても、あなたが子どもたちに向けている愛情や、丁寧に関わろうとするその姿勢は、お家の方に必ず届いています。​「どうすれば信頼してもらえるだろう?」と悩むその心自体が、すでに素晴らしい保育者である証拠です。迷った時は、立ち止まって。子どもたちのために、今一番「誠実」な道はどれか、一緒に考えていきましょう。

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